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日経新聞「海外送金網からの孤立、仕送り鎖国の罪」

日本は外国人労働者に門戸を開きつつあるが、彼らにとって不可欠のサービスである国際送金では国を閉ざしたままだ。
ヒト、モノ、カネが国境を越えて動きまわるグローバル化の進展で、世界の資金の流れにも大きな変化が起きている。世界銀行の推計では、世界の出稼ぎ労働者の途上国への送金額は06年は約3千億ドル(約33兆円)に達し、00年の2.3倍に膨らんだ。これは同年の途上国への政府援助額(1040億ドル)と直接投資額(1670億ドル)の合計額より多い。
日本の銀行法は為替業務を銀行免許を持つ事業者に限っており、日本に母国の金融機関のない国の労働者は邦銀を利用するしかない。邦銀はアメリカの民間業者に比べて送金手数料が割高なうえ、平日の昼間に仕事を抜けて銀行に行く必要があり、日本語か英語で煩雑な送金依頼書を記入しなくてはならない。

日本の外国人労働者の数は約75万人。労働人口に占める比率は約1%。同比率が1-2割に達し、外国からの人口流入を経済成長に活用するアメリカやイギリスに比べて大幅に低い。
厚生労働省の推計では、30年後に日本の労働人口は1000万人以上減る。看護師は4万人、介護職員も14年には40万-50万人不足する。アジアとの自由貿易協定交渉でも労働市場開放が焦点だ。

国際的な人材獲得競争が激しくなる中で、海外送金網などグローバル経済に対応したインフラ整備は高度外国人獲得のための競争力に関わる。「外国人にも優しい円」を目指すときだ。

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