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「外国人を魅了する国に」
・人材獲得にもグローバル競争の視点 ・「外国人」と共存する社会、制度の整備 ・「選ばれる国」へ国民の意識改革も米カリフォルニア大学バークレー校から東大に今年一月、新設の研究機構のトップとしてヘッドハントされた村山斉(44)。 宇宙誕生の謎を調べる宇宙物理学の分野で、世界的に注目される学者の一人だ。
現実に背を向け 村山に東大は破格の2500万円程度の年収を提示した。 東大教授の平均の2倍以上、「総長よりも高給」を取る男として脚光を浴びた。 だが、そんな注目のされ方に一番、戸惑ったのは村山自身だった。 「どうしてそんなに驚かれるのか」と村山。 「研究者の評価には世界で市場原理が働いている。 この現実に背を向けたら海外の優秀な人材は集まらない」
インド・ムンバイで就職説明会を開く日本のシステム開発会社は、思うように人材が集められなくなった。 ほんの3年前は1000人が詰めかけたが、今では何度も勧誘メールを出してようやく150人程度。 東南アジアでの転職支援サイトを運営するジョブストリート社長の菱垣雄介(43)によると「残念ながら今の日本企業は世界で二流の位置」。 日本のIT企業で勤務経験があるインド人技術者(30)は「技術より日本語力で評価する会社に未練はない」という。 日本政府が高度な教育を受けた外国人の積極受け入れを打ち出して久しい。 ただ、門戸を開けば人が群がったのは昔の話。 優秀な人材ほどIT化とグローバル化の波に乗り、有利な場所を求めて国境を越える。 「日本の教育を受けた人材は国際性や言語能力が不十分」。 日本の大学生の再教育計画を進めるパリのエリート養成校HEC。 都内の男子大学生は「どんな人間を育てるのか日本の大学院よりはっきりしている」と受験を決めた。 人材争奪がままならない日本に人材流出の未来も見える。 いいとこ取りの外国人政策が壁に突き当たる裏側で、破綻寸前の政策もある。政府が門戸を開きたがらない単純労働者。 年々ひどくなる違法労働などの矛盾をいまだに日本は見て見ぬふりだ。 法務省が最近、「研修生」として外国人をあっせんする協同組合に出した指針。 受け入れ企業が「してはいけないこと」が並ぶ。 「月8万円のはずの研修手当が出来高払い」「深夜・早朝の作業を強要」 「脱走防止にパスポートをとりあげる」 指針が出ること自体、違法行為がまかり通っていることを示す。 拘束力が薄い「指針」には行政の半身の姿勢もにじむ。 道路関連などを事業内容に掲げながら外国人をあっせんするそんな組合は、千以上ある。 労働者受け入れ拡大を訴えるため来日したベトナムの労働相グエン・ティ・キム・ガンは「同じ少子化の欧米と違い、日本は外国人を出稼ぎとして扱う」と不満を語る。 元東京入国管理局長の坂中英徳(62)は「教育や社会保障など生活の必要条件を整えず社会の一員として迎えない国に、いったい誰が来るのか」。
働き手足らず 日本の労働力は20年で1000万人減る。潜在成長力を上げるには、 生産性を高め、産業構造を変革し、働き手を増やさねばならない。 働きやすいよう制度や社会を変えねばならない。 外国人政策の論点は出尽くしている。副作用と反発を抑えつつ、共存の道筋を模索する。不足の数合わせではなく、 会社や地域が発展する原動力として迎え入れる。 単純労働者のようにあいまいな制度の下で安易な採用が進む事態は未来に禍根を残す。 現実に目を背けた「思考停止」をやめ、すそ野の広い議論を早急に始めなければならない。 マッキンゼー日本支社長、エアン・ショー(45)はカンボジア生まれ。 仕事をしたのはフランス、タイ、南米など十二カ国。 日本支社長のポストに「全く違和感はなかった」。部下の九割が日本人。 オフィスには米国、中国など10カ国の人材が机を並べる。 将来の日本企業の縮図がここにある。日本は冷静に足元を見つめ、未来への布石を打つ時だ。 |