ビザ関連

2015年に「高度専門職」というビザが新設されたと聞きましたが、どういうビザですか?

1.高度専門職ビザの概要

「高度専門職」ビザは高度の専門的な能力を持つ外国人(高度人材外国人)の受け入れを促進させるために、2015年に新たに創設されました。

これまでは、高度人材外国人に該当する場合は「特定活動(高度人材)」ビザが発行されていましたが、1つの独立したビザとして新設されたわけです。

※すでに「特定活動(高度人材)」を持っている人は、高度専門職1号を持っているとみなされることになり、ビザの変更手続きは必要ありません。

高度専門職ビザには他のビザにはない優遇措置がいくつか設けられていますのでご紹介します。

2.「高度専門職」ビザの7つのメリット

他の就労ビザと比べて高度専門職ビザには以下のようなメリットがあります。

(1)特別な許可がなくても許可された活動以外の活動を行うことができます

(2)一律「5年」の在留期間が与えられます

(3)永住許可の要件が緩和されます

(4)高度専門職の配偶者が働きやすくなります

(5)親を日本に連れてくることができます(ただし条件つき)

(6)外国人の家事使用人を雇うことができます(ただし条件つき)

(7)入国管理局での入国・在留手続を優先的に処理してくれます

一つ一つ見ていきましょう。

(1)特別な許可がなくても許可された活動以外の活動を行うことができます

通常、外国人の方は、許可された在留資格で認められた活動しかできません。

それ以外の活動を行おうとするときは、資格外活動許可を取得しなければならなかったり、ビザの変更をしなければなりません。

しかし、高度専門職の場合は、在留資格で認められた主な活動と併せて主な活動と関連する事業を経営したり、別の機関で研究・教育をすることができます。

(2)一律「5年」の在留期間が与えられます

他の就労ビザの場合、在留期間は1年、3年、5年があり初めて就労ビザを取得する場合は1年が与えられることが多く、その後何度か更新してやっと5年を取得できた!ということも珍しくありません。

その反面、高度専門職の場合は、一律で5年の在留資格がもらえます。

更新の頻度がグッと減るため、申請にかかる手間や費用が抑えられますね。

(3)永住許可の要件が緩和されます

永住許可では原則として、「継続して日本に10年住んでいること」が条件となります。

しかし、高度専門職の場合、高度人材外国人としての活動を継続して5年間行っていれば、永住許可の対象となります。

(実際は、高度人材外国人としての活動を4年6カ月行っている場合に、永住許可申請が受理されます。)

そのため、最短5年程度で永住権を取得できる場合もあります。

(4)高度専門職の配偶者が働きやすくなります

一般的な就労ビザの場合、その配偶者は「家族滞在」ビザが与えられます。

「家族滞在」ビザを持つ配偶者は、原則働くことができませんが「資格外活動許可」を取得すれば働くことができます。

ただしこの場合、労働時間は週28時間以内という制約があります。

また、配偶者の方が通訳・翻訳の仕事や、語学学校の教師をしようとする場合は、

「技術・人文知識・国際業務」ビザや「教育」ビザが必要となり、学歴や職歴などの条件を満たす必要があります。

一方、高度専門職の配偶者の場合、職種は限られますが学歴や職歴などの条件を満たしていなくてもフルタイムで働くことができます!

<対象となる在留資格と職業>

○「研究」 : 大学や企業での研究職など

○「教育」 : 小学校、中学校、高校などの語学教師

○「技術・人文知識・国際業務」 : 翻訳・通訳、デザイナー、SEなど

○「興行」 : CM出演、TV出演、映画出演などの芸能活動

<その他の条件>

○高度専門職を持つ配偶者と同居していること

○日本人と同等以上の報酬を受けること

(5)親を連れてくることができます(ただし条件つき)

一般的に、就労ビザを持つ外国人の方の親を日本に連れてきて一緒に住むことは難しいです。

その点、高度専門職ビザの場合、次の条件を満たせば日本で親といっしょに暮らすことができるのです。

【高度専門職ビザを持つ外国人が親といっしょに暮らすための条件】

1、次のいずれかの場合に該当すること

○高度人材外国人(又はその配偶者)の7歳未満の子どもを養育する場合(養子を含む)

○高度人材外国人の妊娠中の配偶者、または妊娠中の高度人材外国人の介助等を行う場合

2、高度人材外国人の世帯年収が800万円以上

(世帯年収とは、高度人材外国人本人と配偶者の年収を合算したもの)

3、高度人材外国人と同居すること

4、高度人材外国人またはその配偶者のどちらかの親に限ること

(奥さんと旦那さんのどちらの親も呼び寄せることはできません。)

(6)外国人の家事使用人を雇うことができます(ただし条件つき)

下記の要件を満たせば外国人の家事使用人を雇うことができます。

【高度人材外国人の子どもが13歳未満であったり、配偶者が病気で日常の家事ができない場合】

1、世帯年収1000万円以上

2、雇用できる家事使用には1人だけ

3、家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払う予定

【高度人材外国人が入国するときに家事使用人をいっしょに連れてくる場合】

1、世帯年収1000万円以上

2、連れてこれる家事使用人は1人だけ

3、家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払う予定

4、高度人材外国人が来日する以前に1年以上雇用されていた

5、高度人材外国人が出国するときにいっしょに出国する予定

(7)入国管理局での入国・在留手続を優先的に処理してくれます

高度専門職に関する手続きは優先的に処理してくれるようになっています。

通常2週間~数カ月かかることのあるビザ申請がたったの数日間で処理されることになっているんです。

●入国事前審査(在留資格認定証明書の交付申請)

申請受理から10日以内

●在留審査(在留資格更新・変更)

申請受理から5日以内

ただし、申請時に書類に不備がある場合や申請内容に何らかの問題がある場合などは

上記の期間内では処理されません。

このように外国人の方にとってたくさんメリットがあるビザなのですが、2015年に新設されたところということもあり、あまり浸透していないのが現状です。

日本政府は高度人材外国人の受け入れをさらに促進させていく方針ですので、今後さらなる優遇措置が取られる可能性もあります。

知らなかった!という方は一度「高度専門職」ビザに該当するかどうかチェックしてみてくださいね。

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